« 「どんど晴れ」&「さくら」86 | トップページ | 「どんど晴れ」&「さくら」87-88 »

題名のない音楽会 振ってみまSHOW!

7/8(日)の「題名のない音楽会」(TV朝日)は、素人による指揮者体験企画、題して「振ってみまSHOW!」。

審査員は指揮者の小松長生、作曲家の千住明、同じく服部隆之。
書類審査、ビデオ審査で選ばれたらしい人達が東京シティフィルを前に、思い思いの曲を振る。時間は1分間。制限時間になると、ドラがゴーンと鳴って終了~、という段取りである。

出場者は中学生あり、小学生あり、60代の女性ありとまさに老若男女。
そして皆、何ともいえない独特の指揮。

面白くてしょうがない。世の中には、アマチュアでも指揮者として活動している人はそれなりに上手い人もいると思うが、この企画は、まあ真面目に指揮の才能のある人を発掘しようとかいう意図があるとはあまり思えず、ビデオ審査もしているというのがミソで、上手いかどうかよりも、面白い、インパクトのある人を意識的に選んでいると思う。のど自慢と同じだ。

普段、知らない人は、指揮者なんてただ棒振ってるだけじゃん、何が凄いの?と言うだろうが、こういうのを見ると、いかに「指揮」というのが難しいか分かる。一見ただ適当に振っているように見えるが、そこには「指揮法」というメソッドがあり、プロの指揮者は皆これを身に付けている。言ってみれば指揮という「言語」における「語法」のようなものだ。「文法」と言ってもよい。

そこには一定の基本が共通してある。

単純な1・2・3・4と振っているようでも、その間隔が一定していないといけない。そのリズムの安定感を見て奏者は落ち着きを感じ、安定したテンポで演奏することができる。

素人の指揮を見て分かるのは、まずこの安定した拍(拍子)を刻むことの難しさ。大体みな、リズムが一定していない。

こういう時、オーケストラはどうやって合わせるか。まあ、指揮が危なければ、コンマス(コンサート・マスター)のアインザッツ(合図)に合わせているでしょうね。振っている人には悪いですが。それで一定の演奏を保つことができているのだ。

そして強弱、硬い・柔らかい、と言ったニュアンスを指揮の振り方で表すことだ。これが上手くできないと、曲想とまったく違う指揮を延々とすることになる。

自分もアマチュアではあったが、それでも高1の秋から引退する高3の秋までほぼ2年間、吹奏楽部の仲間と、指揮者と奏者という関係で過ごした。
そのたった2年間の間の経験からではあるが、色々なことを学んだ。

最初、学指揮になった時、1年上の学指揮の先輩から、斉藤秀雄の「指揮法」メソッドの本を渡され、これを勉強しろ、と言われた。以来代々の学指揮に受け継ぐこととなった。

自主運営していた高校の時の吹奏楽部は、演奏面で言うとパートリーダーもさることながら、指揮者の力が大きかった。指導者でもあり、演奏面のリーダーでもあった。指導者の面としては、言葉による演奏指導、指示が上手いかどうかが一つの能力ポイントであった。

しかし、何よりも感じたのは、「言葉」によって演奏上の注意、改善点を伝えるのも重要だが、結局は「棒」つまり「指揮」がある程度の水準を持っていないと、まとまる演奏もまとまらない、ということだった。

極端な話、「言葉」は足りなくても、指揮が上手ければ演奏はそれなりにまとまる。この事実の方が重要に思えた。

実際に毎週のように合奏の指揮をしていると、振り方が上手くないと演奏が上手くまとまらず、上手く振れている時は演奏もよくまとまっていた。バンドの演奏が下手なのは奏者が悪いのではなく、指揮者の責任が大きいのだ。

そうして自分の指揮を自己分析し、上手く行っている時の指揮を身に付けるべく実践する場であった。だから、一人でCDを聞いて指揮のをマネをしているだけとは訳が違っていた。

自分の場合は、安定した拍を刻むようにするのも第一だが、腰から下をなるべく動かさないようにすることだった。体を動かしすぎると、何となくリズムも不安定になる。これにより、安定感を奏者に感じさせることができる。デュトワなんかも、よく見ていると腰と体の軸はほとんどブレない。その代り、手を大きく肩から使って大きな指揮を実現しているのだ。これは大体の指揮者に共通している点である。カラヤンも意外と体はあまり揺れないで、手でほとんど表現している。これと対極にあるのが飛び跳ねたりするバーンスタイン、コバケン(小林研一郎)らの系統だ。まあ、絶対的な正解がある訳ではないので、それぞれのスタイルがあってよいのだと思う。

学校の吹奏楽部とかの指揮者の先生でも妙チクリンな指揮をする人を見かける。指導者としての「言葉」による指導はきちんとしているとしても、それでは出てくる音は妙チクリンになる。そういう意味で、学校の音楽の指導者はよき「指揮者」でもあってほしいと思う。それが「本当の音楽」をよく体現する一番の方法であり、専門教育を受ける人なのだからそのくらいは身に付けてほしい。

音楽の教員になる場合、「指揮法」の教育というのはどれくらい行われているものなのだろうか。これ、すごく重要なことだと思います。あまり重要視されていないとしたら、もっと充実させて欲しいと思います。これによって演奏がぐっと変わると思います。

「振ってみまSHOW!」、来週もパート2があるそうです。

→「振ってみまSHOW!②

 

<<ランキング応援よろしくお願いします>>

人気ブログランキング【ブログの殿堂】 人気blogランキングへ にほんブログ村 クラシックブログへ

|

« 「どんど晴れ」&「さくら」86 | トップページ | 「どんど晴れ」&「さくら」87-88 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 題名のない音楽会 振ってみまSHOW!:

« 「どんど晴れ」&「さくら」86 | トップページ | 「どんど晴れ」&「さくら」87-88 »