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ベト7(ベートーベン交響曲7番)1

ベートーベンの交響曲第7番イ長調。

略して「ベト7(べとしち)」。関西圏では「ベト○」ではなく「べー○」とも言うらしい(つまり、「べー7」となる)。

※略語については
4/1 のだめ効果?クラシック略語流行る?ベト7
を参照下さい。

大学オケ時代、年2回の定期演奏会の選曲会議で毎回のように候補に出ては落ちる曲の一つであった。

なぜこの名曲が落ちるのか。

選曲のプロセスはこうだ。まず全員から希望する曲を募り一次候補とする。これを各パートの首席奏者(パートリーダー)らからなるリーダー会議で延々と議論をして決めていた。各パートリーダーは、曲の難易度や楽器編成などを考慮し、パート員の意見も聞いて、推す曲、落としたい曲をパートの意見として出していき、これを繰り返して候補を絞っていく。

アマオケには当然ながら色々な趣味や価値観の人がいる。単純に好きだから、という理由でモーツァルトやベートーベンなど一般的に人気のある曲もいつものように候補に出される。

ところがパートリーダーはそうはいかない。曲の難易度によって、自パートの技術レベルで演奏できるのか、とか、人数が多いパートの場合、ローテーションと言って、できるだけ皆が同等に出番があるよう考慮しなくてはならず、各自パート員の期待(圧力)を一身に背負い交渉に臨むのである。

とはいえ、あれもできない、これもできない、ではナメられて発言力が弱くなることもあるので言い方も考えなくてはならない。そして実は各リーダーの個人的な好みもあったりするが、あからさまにそうも言えないため、色々と理由付けを考えたりもする。

こうして実に虚々実々の駆け引きが繰り広げられ、曲が決まっていくのであった。やっている時は辛いだけで気が狂いそうだったが、後から思うと、これ、随分といい社会勉強になっていたのである(笑。サラリーマンになると分かると思います・・・)。

ベートーベン、モーツァルトなどの古典系は弦楽器を中心に人気は高いが、選曲においては敬遠されがちである。理由は、金管・打楽器の出番が少ないということもあるが、「難しい」からである。古典系の難しさというのは、「ごまかし」が利かないところにある。

近現代の曲などでは、早いパッセージや高い音など多少技術的に難しくても、とにかく練習して譜面通りにできればそれなりに曲になってしまう(ように聞こえる)ものも多いが、古典はそうはいかない。無駄な音がなく、ちょっとのアラでも目立ってしまう。相当練習しても「名演」まで持っていくのは難しい。ただ好きな曲ができればいい、と開き直りでもしない限り、古典をやるのは相当の勇気がいる。ただ、音楽の作り方などで非常に勉強になる部分が多いので、そういう理由であえて取り上げることもあった。

そしてもう一つの理由。

大体、金管セクションは自信満々系の人間が多く、難しくても自分のパートがバリバリ吹いて目立つ曲を強硬に推してくることが多い(マーラー、ブルックナー、ワーグナーとか)。ベト7というと、別名「ホルン協奏曲」と言うくらい、ホルンが目立ち活躍する(特に1楽章と4楽章)。

ところが、この曲だけはホルンが嫌がるのである。この二つの楽章は結構高い音が出る。プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」などのように同じくらいの音が出てくるものもあるが、音形によって出しやすさが違うのだと思われ、ベト7はいきなり「パーン」と出さなくてはならないので難しいのだと思う。

嫌がると言っても、はっきりとそうは言わないところがいやらしい(笑)。

曰く、この曲は「(演奏を)保証できない」と。(正直に難しい、とかできない、とか言えばいいのに、ねえ)。

もう1曲、ホルンが絶対に嫌がったのは、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(通称、ティル)。これは恐らく冒頭のウルトラE難度宙返りのようなソロに理由があるのだと思う。

演奏会プログラムは、基本的には3曲プロで、前プロ・中プロ・メインと呼ぶ構成を取ることが多い(曲の長さや難易度的に見ると通常は、前プロ<中プロ<メインとなる)。大体は核となるメイン・プログラムが決まって、その後、全体のバランスを考えて前・中が決まっていったように思う。

人手不足のパートなどは「全ノリ(乗り)」と言って有無を言わさず全曲出演となるが、人数の多いところは、前ノリ(前プロだけの出演)、とかメインだけ、などとなる。

なのでメインが古典系のように、金管がトランペット2・ホルン2だけ、とか打楽器はティンパニだけ、とかの編成の曲になってしまうと、金管や打楽器が黙っていない。そうすると前プロや中プロが大抵、金管・打楽器がドンカチャンカやる派手な曲になる。邦人の作品で結構そういうのがあり、こういう時、よく候補に挙がった。「困った時の邦人頼み」という格言さえあったほどだ(笑)。でも邦人は弦楽器にとってはあまり「勉強にならない」そうで嫌がる人が多かった(吹奏楽に近い作品が多いのだろうか)。

次、私の好きなベト7の演奏について。
これは、長くなるので・・・【つづく】

   ベト7(ベートーベン交響曲7番)2

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コメント

大学オケの定期演奏会で、7番をやったのを思い出しました。

投稿: ラッキーサウンド | 2007年5月 3日 (木) 11時23分

ラッキーサウンドさんへ。お立ち寄りありがとうございます。ラッキーサウンドさんもオケ経験者なんですね。何の楽器だったのでしょう?

投稿: まるさん | 2007年5月 5日 (土) 00時12分

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